執筆:ハロミラボ編集チーム
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植物園/庭園/公園の運営では、入口の受付だけでなく、植物の管理(除草・掃除・剪定・施肥など)や園内巡回、点検・清掃作業や接客案内、イベントの対応や、資料作成等の事務作業など、さまざまな仕事を行うスタッフが必要です。
桜の時期や紅葉の時期、イベント時など、タイミングによって来園者数が変動するため、繁忙期には特に人手不足を感じるかもしれませんが、この時期にだけ都合良く人を雇うわけにも行かず、また雇おうとしてもそううまくいくものではなく、頭を抱えている園は多いのではないでしょうか。
植物園/庭園/公園運営では、入園者管理をアナログで行っている施設がほとんどでしょう。
しかし、窓口で直接販売するチケットだけでなく、公式サイトやアソビューなどでもチケットを販売している場合、それぞれの管理画面で人数を管理した上で、もぎった半券に記載されている番号と手作業で照合し、入場者数を確認しなくてはなりません。
中には他の園との共通チケットや、コンビニなどで紙チケットを発券してくるお客さまもいるため、販売チャネルごとに集計し、一つひとつシステムに入力している施設も多いようです。
ダイレクトインとは、スマートフォンでQRコードを表示させるだけで使えるチケットのことです。Webサイトでチケットを購入し、来園者がチケットブースに並ばなくても、認証機にスマホをかざすだけで施設に入場することが可能です。
博物館や水族館などと違って、よほど大きな植物園/庭園/公園でもない限り、対応できている施設は少ないようです。屈指の入園者数を誇る新宿御苑でも、繁忙期である桜の時期の事前予約は可能ですが、それ以外の時期は実際に新宿御苑に行って券売機でチケットを購入し、そのQRコードをゲートにかざすという流れになっているくらいです。
対応できていない場合、窓口でチケットを販売するスタッフや、入口で受付・チケットの管理をするスタッフを確保しなくてはなりません。
敷地面積が広く、入口や受付窓口が数カ所ある場合は、各箇所にスタッフを配置することも必要です。
アナログな管理しかできていない施設では、どんな人がいつ来園したか、データの分析ができておらず、担当者の体感頼みになってしまいます。
経験豊富な担当者であれば、その体感に大きくズレはないようですが、集客のためのイベントや企画を考える際には、やはりデータが不可欠。自施設の強みやターゲット、課題設定を明確に行って初めて、効果的な施策実を打ち出すことが可能です。
植物園/庭園/公園運営を安定して運営するためには、リピーターの確保が大切です。
そしてリピーターを確保するためには、来園者が感動し、「また来たい」と思ってもらえるような工夫や、たとえば「熱帯植物に特化している」など、ユーザーを惹きつける強みを持ち、それを広める必要もあります。
庭園や公園では、「過ごしやすさ」「環境の良さ」も大切なポイント。園外では味わえない空間づくりや、ゆったり楽しめる環境整備を重視している施設が多いようです。
また、通年で楽しめる企画を立案したり、子どもたちがリピートしてくれるようなイベントを行ったり、園芸教室や夜のライトアップを行うなど、さまざまな工夫を行っています。
植物はすぐに育つものではないため、先々の企画を計画的に立てていく必要もありますが、その時間がなく、毎年似たような企画でお茶を濁してしまっているという園も、もしかしたらあるのではないでしょうか。
大阪府では、公園の管理運営を行うとともに、都市の魅力創出を図るため、DX(デジタルトランスフォーメーション)を活用した「利用者サービスの向上」と「維持管理の質的向上や効率化」を検討しています。
ビッグデータを活用して個々のニーズに対応したサービスの提供、園内ガイド等XR(クロスリアリティ)技術を活用した新たな体験型サービスの取組み、駐車場や入退園ゲートのマネジメントなど、さまざまな検討が行われているようです。
愛知県名古屋市の中心部にある久屋大通公園は、久屋大通の中央分離帯に位置する大規模公園です。延長1381m・平均幅員78 mにおよぶ大規模公園で、かつ中心部の栄を南北に貫く道路の中央分離帯に位置する特殊性のため、24時間人の出入りが可能であり、人力での警備や安全性の確保には限界がありました。
そこで、公園整備運営事業の一環としてNTTコミュニケーションズ株式会社と三井不動産株式会社によるDX化が行われています。このDX化では防犯カメラの映像をAI解析することで防犯に役立てています。
また、匿名性を確保したうえで、統計化された位置情報データを用いて、来園者の行動を解析。安全な公園運営のために活用されています。
さらに、このDX化事業ではリモートワークが普及した昨今、自宅にいながら公園の良さを広く知ってもらえるよう、リモートで公園を楽しめるVRサイト「Hisaya Digital Park」を開設しています。
「Hisaya Digital Park」では360°パノラマ写真によって、構築された公園や公園内の店舗を自由に回遊可能です。こうして新しい利用者体験を実現し、デジタル空間からリアル空間への送客を促すことで、「新しい公園の価値」を生み出すことに成功しています。
神奈川県茅ヶ崎市では、茅ヶ崎市公園緑地課が市内にある大小合わせておよそ200の公園(2023年5月時点)を担当しており、2014年からは愛護会制度をスタートさせ、地元住民とも協力しながら美化運動や緑化運動、地域の見守り事業などを実施しています。
一方、愛護会へ参加する世代の高齢化が進んでいることが課題となっていました。若い世代の人にも積極的に愛護会の活動を伝えて、参加を促せるようにDX化によるネットワーク構築を実施。情報発信や申請手続きの簡略化に取り組みました。
結果として、自治体間の連携が強化。環境整備事業も効率化されました。
神奈川県茅ヶ崎市で公園愛護会「スマイルパークこわだ愛護会」が活動しています。地域の公園管理活動や子供が安心安全に過ごせる環境を保護する活動のために、2021年から茅ヶ崎市公園緑地課とも相談。スマートフォンアプリを主体としたDX化を進めて管理体制を整えています。
これにより市役所を含む行政との連携も効率化した上、地域住民に対する情報発信も円滑に行えるようになりました。2023年5月には第34回「みどりの愛護」功労者国土交通大臣表彰において受賞されるまでに至っています。
また日常的な業務のペーパレス化による負担軽減で、愛護会の運営が楽になっているという声もポイントです。
公益財団法人東京都公園協会では、SNSアプリを公園の安全環境の維持活動へ利用することで、都立公園52カ所の安心感の向上を実現しました。
従来のシステムでは同協会の公式ホームページにある専用フォームから、不審者情報や不具合・問題についての報告を行わなければなりませんでした。しかし、新しいシステムを導入。通報システムの簡便化や情報の精度向上が実現されました。結果的に安全環境の維持に貢献しています。また、人々が日常的に使用しているSNSアプリを活用したことで、気軽に利用できる人が増えたこともポイントです。
大阪府などの地方自治体では、安心安全な公園施設管理を維持できるように「遊具点検アプリ」や「遊具点検記録管理ツール」といった管理アプリを導入しています。遊具管理のペーパレス化とチェック体制を強化。また地域の住民からの情報伝達の簡便化といったメリットを実現しています。
従来のPC管理システムでは事務作業や管理作業にも専門スキルや経験が必須。作業の属人性が高くなっていました。しかしアプリ対応の専用リーダーとタッチペンを使って直観的に作業できるフローを構築したことにより、データ入力の正確性が向上して結果の集計・管理も効率化できたようです。
シンガポールの観光施設では、来園者のインタビューによってUXデザインや入場券購入時・入場時の混雑、アトラクションの混雑、園内の案内不足などの課題が見えてきました。それぞれの課題に対しデジタル体験を提供することで解決を検討。
オンラインチケットの導入、ダイナミックプライシング、予約整理券発行機能、AR活用の道案内機能などの導入を検討しました。コロナ禍によって感染対策上の観点から優先順位を考えた結果、オンラインチケット、予約整理券機能を最優先で実装できたことは高く評価されています。今後も現地のユーザー拡大を目標とした施策を進めていきます。アフターコロナを見据えた新たな取り組みも検討されており、社会情勢の変化に合わせたサポートを継続することでさらなるDX化推進を目指しています。
また、ユーザビリティを意識したデザインを取り入れる、展望台からカメラをかざすことでランドマーク情報が画面上にポップアップで表示される機能や園内の周遊でアイテムを集めるGPS連動ゲームを搭載し、ユーザー体験を高めることも実施しています。
「けいはんな記念公園」のDX化を図った事例を紹介します。けいはんな記念公園は、京都府相楽郡精華町にある都市公園です。面積は24.1haあり、日本の里風景をテーマにした公園内は水景園や芽吹きの森などの有料ゾーン、広場や竹がある谷あいの無料ゾーンに大きく分けられます。公園の面積が広大なため、環境保全や防犯の質向上が求められました。
京都スマートシティ推進協議会がDX化を実施。遠隔で点灯・照度の変更ができる「スマートライト」や、転倒・接触などのトラブルを映像から検知できる「ネットワーク防犯カメラ」、温度・湿度などの環境データを取得できる「環境センサー」などのシステムを設置しました。
人流データの解析や外灯の消費電力データの収集によって効率的な照明の環境を整えることを実現。また遠隔でコントロールできれば人件費削減や、防犯カメラの導入による公園内の安全性の向上・公園の利用状況の確認などの効果も期待できます。さらに環境センサーの情報を分析すれば、環境面のあらゆるデータが収集できて、自然環境の保全に繋がります。スマートライト、ネットワーク防犯カメラ、環境センサーの情報を活用すれば、多くの方が利用しやすい公園づくりにも役立てられるでしょう。
アメリカのネバダ州ラスベガスではNTTグループと連携を図り、ラスベガス市のDX化を推進するためにスマートシティプロジェクトを実施しています。市内にあるイノベーション地区に対し、「高解像度カメラ」「音響センサー」「IoTデバイス」などのシステムを配備し、人々の動きや交通状況などの情報を解析。その結果、逆走する車両の件数削減といった効果が得られました。
スマートシティプロジェクトは、「コミュニティ・ヒーリング・ガーデン」、「ボブ・バスキン・パーク」、「スタパック・パーク」にも拡大。さらに公園をはじめとした市内設備の安全状態・保全状況の課題を市の職員に対し、リアルタイムで通知できる仕組みも導入しています。それによって警察官や保安要員をスピーディに派遣する体制を整えることを目指します。
北京では2022年までに1090か所の公園のスマート化を実施すると発表しており、DX化に注力しています。たとえば公園の出入り口やエアロバイクの前、ジョギングコースのスタート地点などには大型のタッチパネルディスプレイを設置。このディスプレイにて、公園に関する様々な情報をチェックできます。また利用者は運動量も把握できるシステムです。
さらに公園内の街灯には防犯監視機能・防災無線機能・連絡機能を搭載。連絡機能には呼び出しボタンや緊急ボタン、マイクなどが付いているので、何かトラブルが発生したときも迅速に対応できるでしょう。ほかにも休憩用の机の上でスマホが充電できる、ボタン操作でゴミ箱が開閉できるなどのシステムも取り入れています。
まずはチケット販売や取り扱いまわりの業務をデジタル化することが大事。それにより、先ほど紹介した課題がどのように解決できるかを以下にまとめました。
具体的に、どんなBefore・Afterになるのかを、公園における主要業務別にご紹介します。
解説に活用したシステムは、「Smart Helloチケット」。このシステムを選択した理由は以下です。
では、実際に「Smart Helloチケット」の機能を使ったBefore・Afterを見ていきましょう。
発券がアナログだと、当然チケットを販売する人員が最低でも一人は必要です。
時給換算すると、最低賃金の場合でも月間20万4720円〜25万7280円(1日8時間×30日×一人で計算)がかかります。
また、当日窓口でのみ販売しているという施設は、集客機会を逃していると思って間違いありません。 このコロナ禍で事前にチケットを購入したというお客様も増えており、そのニーズに応えるように最近では公園の前売り券を販売するWebサイトも多く、“事前に買えない”だけで、来場者の選択肢から外れてしまうことも考えられるからです。
上記2点を可能にすれば、購入者の分析が可能になるとともに、発券業務における大幅な省人化・効率化が可能になります。
「Smart Helloチケット」では、簡単に自社でのチケット販売サイトを作ることができて、クレカ決済も可能。「性別」「郵便番号」など、取得する情報を設定することで、マーケティングに活用することも。
多言語対応やプレイガイド連携機能もあるので、プレイガイド売上の一元管理によって、売上集計作業の手間が軽減されます。
販売したチケットをもぎりが確認し、お客様を通す業務はどんな施設にも必須。小さい施設では窓口の販売と同じ人がやっていることもあるはずですが、人員が必要なことにはかわりがありません。
ここを人間に任せてしまうと、お客様の属性分析をしてイベントやマーケティングに生かしたいというときに、お客様のよく来る時間帯・年齢層・性別などのデータを人力で集計しなければいけなくなり、大きな手間が発生します。
ゲートがわりのスタンドにタブレットなどの端末をセットし、お客様が窓口や事前にWebで購入したチケットを読み込ませることで、来場者自身でのセルフ着券が可能になり、もぎりの必要性がなくなります。
「Smart Helloチケット」の場合、なんらかの理由によってシステム障害が起こっても、オフラインでも動作可能になっています。
着券をシステム化することでお客様を時間帯・月別・曜日別などで分析しやすくもなります。
この2点が、顧客管理でスタッフの手間がかかる業務ではないでしょうか。
年間パスポートは、規約の説明・手続き・顔写真の撮影など、対応コストがかさむのが難点。
そして未だアナログな台帳を活用している公園も多いであろう団体予約。エージェントごとに売掛金を計算したり、請求日の抽出、直前での人数変更があったりと、ひとつの予約でもいくつかの手間が蓄積されていきます。
年間パスポート登録を来場者自身がタブレット端末で行えるようになっているので、対応コストの削減が実現。また電子サインや控えのメール送信によるペーパーレス運用も可能になります。
「Smart Helloチケット」では、団体予約の管理が容易。エージェント別のチケット登録にも対応しているので、請求タイミングに合わせて売掛金額を自動で集計することも可能。
発券や着券が人力だと、来場時間・来場者属性などの集計が困難になるとともに、データ化する手間もかかります。
小中規模公園の場合、集計を行う人員の確保も難しいのではないでしょうか。結果、来場者の分析が疎かになり、リピーター確保のためのイベントや施策が後手に回ることになってしまいます。
今まで紹介した「Web販売」「発券」「着券」の機能などによって、蓄積されたデータをもとに絞り込みたい情報で帳票が作成できます。
絞り込みたい情報を選んでいくだけでできるので、専門知識は必要ありません。
小中規模の集客施設運営をトータルサポートするためだけに作られた「Smart Helloチケット」。
Webチケット、団体予約、POS販売管理が簡単な操作で可能になります。
Point01
施設独自のWebチケット販売サイトが簡単に作成可能。
セルフ発券・着券機能で、窓口やもぎり業務の削減や無人化が実現できます。
Point02
クラウド版のため、拡張性が高く、業界ニーズに合わせたその時々の拡張機能が使用できます。
チケットの発券やPOS機能、着券機能はオフラインでも動作可能なので、システム障害の際も安心。
Point03
初期費用はどんな施設でも0円。月額費用は3万3千円・6万6千円・11万円(すべて税込)と、使える機能によって3段階を用意。小中規模施設であれば、下2つの金額のプランで十分で、バイトを雇うよりもコスパが◎。
※これ以上の規模の施設の方はお問い合わせください
スポーツクラブ運営管理や、公務支援など、さまざまな業界で効率化を目的としたシステムを開発。
会員制施設をトータルサポートする「Smart Hello」は1,100以上の施設(※)に導入されています。
そのノウハウを取り入れた、アミューズメント施設専門の「Smart Hello チケット」を展開中。
遊園地や動物園、博物館などと違って、再入場やお土産販売が活発ではない植物園/庭園/公園では、あえてDX化する必要性はそこまで多くないかもしれません。
しかし、特別な機材や知識も必要がない手軽さと月額バイト一人よりも安い価格でDX化が叶うので、少しでも今の業務を効率的にしたい場合は、ぜひ検討してください。
旅行会社や学校から団体予約が多いような園は、DX化によって効率化だけではなくミスの削減もできるので、おすすめと言えます。
公教育、ウェルネスなど、多彩な業界でのソフトウェア開発によって、その業界で働く人々・施設の効率化を支援する株式会社システム ディが、アミューズメント施設運営課題解決方法を提示。それを、コンテンツマーケティングを展開するZenkenハロミラボ編集チームがわかりやすく解説していきます。